平成25年2月8日

御 挨 拶

 

福岡県弁護士会筑後部会 部会長

大 石 昌 彦

 

福岡県弁護士会久留米法律相談センター20周年記念講演会及びパーティーにご参加くださいまして誠に有難うございます。

福岡県弁護士会では、すでに福岡市中央区の西鉄天神駅のそばに天神法律相談センターが昭和60年に移転開設されておりました。平成4年当時、登録弁護士数が僅か30名強である福岡県弁護士会筑後部会が法律相談センターを開設して果たして運営をうまくやっていけるのか、賛否両論の議論の末に裁判所横のマンションを購入し、当センターは筑後地区における市民の弁護士へのアクセスの拠点として走り出しました。

当センターは、開設以来順調に相談件数が増え続け、当初の不安は杞憂におわり、年間相談件数が平成4年に500件台であったのが、平成20年には2200件を超えるに至りました。相談センターは、市民の方々の弁護士へのアクセスを容易にするための拠点である一方で、まだ弁護士の広告が規制されていた時代の部会員弁護士にとっては自分が担当した事件を受けることによって事務所の経営を支える重要な柱となっております。

また、これまでに久留米市以外の県南部にも八女、柳川、大牟田、うきはに法律相談センターを立ち上げ、県南部の市民の方のアクセスを容易にする体制ができあがりました。

弁護士会では、高齢者・障がい者、女性や子どもの人権、消費者保護、貧困問題など様々な公益活動も行っています。そのような活動を支えるのが、弁護士が会に納める弁護士会費や法律相談センターで受けた事件の弁護士費用から組み入れるセンター負担金です。法律相談センターはそのような公益活動を支える役割も果たしております。

福岡県弁護士会では、社会問題化していた多重債務の相談を平成19年に無料化し、長引く不況による労働者の解雇や賃金未払やセクハラ・パワハラの問題も含めて本年10月からは労働者の労働相談も無料にしました。また、甚大な被害をもたらした夏の九州北部豪雨の被災者の方のための法律相談を無料化し、最も被害の多かった地区四カ所に弁護士を派遣する派遣相談も被災後すぐに立ち上げました。

このように当センターは、相談事業を拡大し、開設以来順調に実績を伸ばしてきたわけですが、法律問題を抱えておられる市民の方すべてに対応できているかというと必ずしもそうではありません。私たちが受ける相談者の中には、何カ所かを巡ってやっと当センターに辿り着いたという方も少なくありません。弁護士会の行ったアンケートにおいても、相談窓口として弁護士の認知度が低く、気軽に相談しづらいこと、費用が分かりにくいことなどが弁護士アクセスの阻害要因として存在することが確認されています。

当センターを支える筑後部会は、久留米法律相談センター20周年を機に、弁護士会法律相談センターの認知度を高めるさらなる努力を行うとともに、部会員弁護士が相談者にとって気軽に相談できるような受け入れ態勢を整え、市民が身近に利用できる司法を目指し、ひいては市民の権利、利益が擁護され、社会正義が実現されるようこれからも努力していきたいと思っております。