相続

遺言書を作りたいのですが、どのような方法がありますか。

  • 代表的な方法として、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

    【自筆証書遺言】
    自筆証書遺言は、遺言をする人が自分で自書して作成するものです。遺言の内容の全文、日付、氏名のすべてを自筆で記載し、署名する必要があります。したがって、ワープロで作成した文書は自筆証書遺言としては無効です。また、ビデオテープによる遺言は、遺言の効力が認められません。このように、自筆証書遺言は、形式が厳格に定められているので、作成するときに注意が必要です。

    その他に、自筆証書遺言は、遺言をした人が亡くなられた後に、家庭裁判所で検認という手続きを経なければならないことにも注意が必要です。

    自筆証書遺言は、形式面も注意して作成する必要がありますので、せっかく作った遺言書が無効とならないよう、弁護士に事前に相談することをお勧めします。

    【公正証書遺言】
    公正証書遺言は、公証人に遺言の趣旨を口授(くじゅ)して公正証書で作成する遺言のことです。公証人という専門家が関わって作成するので、形式面についての心配がありません。

    公証人は公証人役場にいますが、福岡県内には、公証人役場が、福岡市、久留米市、大牟田市など11カ所あります。

    公証人は公証事務を行う人で、元裁判官や元検察官の人がほとんどです。遺言書を作成する前に、弁護士に相談することをお勧めします。

私は、65歳男性です。妻は、既に亡くなっており、長男と長女の2人の子供がいます。  財産は、自宅の土地建物(合計4000万円の価値)と預金が1000万円あります。今後、長男に先祖をまつってもらうためにも、自宅の土地建物を長男に相続させたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。

  • 相談者が、①自宅の土地建物を長男に相続させる旨、②祭祀主宰者を長男にする旨を遺言しておく方法があります。しかし、以下に述べるとおり、長女の遺留分を侵害しますので、長女が遺贈について減殺請求権を行使することができます。

  • 遺言書がない場合は、長男と長女との間で、長男が自宅の土地建物を取得するとの遺産分割協議が成立すれば、長男が自宅の土地建物を相続することが出来ます。しかし、長男と長女の遺産分割協議が調わないことがあります。この場合、長男は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになりますが、相続分が2分の1しかないため、自宅の土地建物を単独で相続できなかったり、自宅の土地建物を単独で相続するためには代償金を長女に払うことになります。

  • このような事態にならないために、自宅の土地建物を長男に相続させる旨の遺言をすることになります。 ただし、長女には、遺留分という権利があり、これを行使すれば、遺言書があったとしても、法律に定められた割合について権利を主張できます。本件の場合には、長女は、相続財産の4分の1つまり1250万円相当について遺留分を主張できます。遺言書をするにあたっては、弁護士に相談されることをお勧めします。

  • その他の遺言事項  相談者は、長男に先祖をまつってもらいたいと考えているようですので、祭祀主宰者を長男にする旨を遺言しておく方がいいでしょう。さらに、遺言書に基づいて、自宅の土地建物の所有権移転登記手続をする必要があります。遺言に基づいて必要な手続き等を行う人を遺言執行者といい、遺言で遺言執行者を指定しておくことができます。今回の場合は、長男を遺言執行者にしておくと、自宅の土地建物の所有権移転登記手続がスムーズにできてよいでしょう。

Aさんは、5300万円の相続財産を残して亡くなりました。Aさんのご家族は、妻のBさん、長男Cさん、長女Dさん、二男Eさんがいます。Aさんは、生前にCさんに700万円を営業資金として贈与しました。また、遺言書で、Dさんに300万円を贈与する旨を書いていました。Eさんは、自分は、Aさんが他の兄弟には、現金をあげているのに自分はもらえないのは不平等だと感じています。Eさんの相続分はどうなるのでしょうか。

  • Aさんの相続人は、妻のBさん、子のCさん、Dさん、Eさんです。  そして、法定相続分は、子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は各2分の1ずつですので、妻であるBさんが2分の1、3人の子であるCさん、Dさん、Eさんがそれぞれ1/6ずつです。

  • 特別受益
    民法は、相続人間の公平を図るために、一定の要件を満たす贈与を相続分の前渡しとみて、計算上その贈与を相続財産に持ち戻して(みなし相続財産)、具体的な相続分を算定します。この贈与を特別受益といいます。特別受益となるものは、被相続人が共同相続人に対してした、遺贈(遺言で行う贈与)、婚姻や養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与です。  本件の場合は、Cさんへの700万円の営業資金としての贈与及び遺言で行ったDさんへの300万円の贈与が特別受益にあたります

  • 具体的相続分の計算
    (1)みなし相続財産
    5300万円+700万円(Cさんへの遺贈)=6000万円
    (2)抽象的な相続分
    ・妻Bさん
    6000万円×1/2=3000万円
    ・子Cさん、Dさん、Eさん
    6000万円×1/6=1000万円
    (3)具体的な相続分
    ・妻Bさん 3000万円
    ・長男Cさん1000万円-700万円=300万円(別に生前贈与700万円)
    ・長女Dさん 1000万円-300万円=700万円(別に遺贈300万円)
    ・二男Eさん 1000万円

福岡県弁護士会筑後部会 弁護士 三溝直喜・三宅賢和

離婚

婚姻費用

現在、夫と別居していますが、私には十分な収入がなく、生活に困っています。どうしたらよいでしょうか。

  • 別居していても、婚姻中の夫婦には、原則、婚姻費用分担義務がありますので、夫に対して婚姻費用を請求することが可能と考えられます。婚姻費用の支払義務が発生するのは、請求をした時点とされていますので、婚姻費用分担を求める審判を申し立てるなど、早めにご請求された方がよいでしょう。

離婚調停

夫と離婚について話し合いましたが、合意ができませんでした。夫は他県に居住しているのですが、離婚調停は、どこに申し立てたらよいのでしょうか。

  • 原則として、相手方(この場合は夫)の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。もっとも、相手方が同意してくれるのであれば、ご自身の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。

財産分与

私(妻)は、結婚当初から専業主婦でした。預貯金、株券、不動産等は全て夫名義になっていますが、これらは離婚の際に財産分与の対象になるのでしょうか。

  • 夫名義になっていても、実質的に夫婦が共同で築いた財産ということができれば、それは財産分与の対象となります。妻が専業主婦の場合も、原則として、2分の1の割合で財産分与を請求することが可能です。

養育費

昨年、夫と離婚しましたが、子供の養育費について取り決めをしていなかったので、夫から一切養育費を受け取っていません。今からでも養育費を請求することはできますか。

  • 今からでも養育費を請求することは可能です。ただし、過去の分の養育費については、家庭裁判所が審判で支払を命じる例は多くありませんので、養育費を求める審判を申し立てるなど、早めにご請求された方がよいでしょう。

  • 養育費を一括で支払ってもらうことはできますか
  • 養育費は、月払が原則です。もっとも、相手方が同意するのであれば、一括払も可能です。

DV

夫から暴力を受けています。離婚したいのですが夫からの報復が怖いです。

  • 保護命令を申立てるという方法があります。保護命令とは、加害者に対し、接近の禁止や、住居からの退去などを命ずるものです。一定の要件を満たす場合は、未成年の子や親族などへの接近禁止命令も可能です。保護命令違反には、刑事罰も定められています。

面会交流

調停で妻と離婚し、妻が子どもの親権者に決まりました。調停で決まった養育費を払っているにもかかわらず妻が子どもに会わせてくれません。養育費の支払いを止めてもいいですか

  • 子との面会と養育費の支払いは、法律上、条件関係に立ちません。したがって、会わせてくれないからといって養育費の支払義務を免れることはできません。このことは逆も同じです。養育費を払ってくれないことを理由に面会を拒否することはできません

福岡県弁護士会筑後部会 弁護士 下山津雅子・吉田星一

離婚をしたいとき

離婚するときには、養育費・親権・子どもとの面会・慰謝料・財産分与・年金分割などについて取り決めが必要になります。
そのためには、家庭裁判所での調停と裁判があります。

本人の判断能力が十分でないとき

本人の利益を保護するため、申立により、家庭裁判所が後見人を選任し、後見人が本人に代わって法律行為などを行ないます。
後見には、成年後見制度と未成年後見制度があります。

高齢者障がい者無料電話相談

弁護士会では、毎週木曜日(午後1時から4時まで)、高齢者障がい者に関しての電話無料相談を行っていますので御利用下さい。